WBCフライ級タイトルマッチ「内藤大助 x 亀田興毅」は、判定で亀田興毅選手が勝ち、新チャンピオンとなりました。
4ラウンドまではジャッジ1人が2ポイント亀田リード、他2人はドロー。
8ランドまでで、3人とも亀田リード。
そして、12ラウンドが終わった時点のジャッジ3人のポイントは、
116(亀田)−112(内藤)
117(亀田)−111(内藤)
117(亀田)−111(内藤)
となり、3-0で亀田興毅が新チャンピオンです。
亀田興毅が最初から最後まで冷静でしたね。
試合開始直前、リング中央で向き合った時、内藤大助はアゴを前に出し、おもいっきりガンくれていました。感情むき出し状態です。
一方、この時点から亀田は冷静。相手のリズムでは戦わないことを固く誓って試合に望んだことが分かるような姿勢でした。
戦前とは全く逆のスタイルになっていたのが印象的でした。
亀田はかなり内藤を研究していましたね。
内藤の視界の外へ消えるような大きなフックに対して、左のショートストレートを鼻へめがけてカウンター。
最短距離で軽く出したこの左がよく当たっていました。
最終的には、もう見ていられないほど、内藤の顔は崩れてしまいました。たぶん、途中のラウンドで鼻が折れていますね。
鼻がぺっちゃんこになっていましたから。
内藤が放つ相手の視界の外から飛んでくる大きなフックは、内藤にとっては武器の1つなんですね。
相手にしてみれば、視界の外からパンチが飛んでくるようなものですから、すごくイヤなパンチです。
でも、亀田陣営はそれを逆に弱点と見たんですね。
内藤の大きな軌道を描いたパンチが届く前に、左ストレートを軽く顔にちょこんと当てる。
結果的にカウンターになるので、軽いパンチでも十分にダメージを与えることができました。
そして、最終的には内藤の鼻はぺちゃんこに。あの鼻では十分に呼吸できなかったことが予想されます。
今回の試合は、完全に亀田陣営の作戦勝ちという印象です。
そして、作戦通りに冷静に戦った亀田興毅の持っている力をあらためて感じました。
あと、今回の亀田は体型が以前とは全く違いますね。
胸板も厚いですし、腹筋も以前より割れていますし、腕も太くなっていました。
今回のタイトルマッチで1つだけ残念だったのは、アナウンサーが完全に内藤寄りなんですよね。。
亀田のパンチの方が当たっているのに、内藤のパンチがあたった時ばかり大きな声を出して。。
TBSは前日に内藤大助の特番を放送していたので、内藤寄りだったんでしょうね。
内藤が防衛した方がTBSにとって都合のいいのかもしれません。スポンサーが取りやすいでしょうからね、亀田よりも。
試合内容はそこそこ良い試合だったと思います。
それでも、めちゃくちゃ良い試合とは思いませんでした。それほど、盛り上がるシーンもなかったですし。僕が期待しすぎたのかもしれませんが。。
個人的には、過去に行われた日本人同士のタイトルマッチなら、「畑山 vs 坂本」が一番良い試合だったと思います。見ていて最高に興奮した試合でした。
因縁のタイトルマッチが終わった今、一番の注目は今後の内藤選手の動向ですね。
引退か?それとも・・・?
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※追伸(2009年11月30日)
一夜たって、あらためて昨日の試合を振り返ってみたのですが、亀田興毅は「勝つことを1番」に考え、内藤大助は「面白い試合をすることを1番」に考えことが勝因を分けたなぁーと思います。
内藤大助のお客さんに楽しんでもらいたいというプロとしてサービス精神が逆にスキを与えた試合になったなぁーと。
パンチの出ない相手の様子を伺ってばかりのボクシングは、つまらない試合になってしまいます。
そうならないように、内藤大助は自分からパンチを打っていく。
それが、亀田興毅がカウンターを狙うチャンスを増やすことになってしまった。
亀田興毅の試合後のインタビューがあります。
──作戦は?
自分の距離を保って戦うこと。詰まらず、離れず、相手の打ち終わりを狙ってパンチを返す。
──左ストレートは内藤対策として身に付けたもの?
ノーモーションの左は昔から練習していた。
練習していたアッパーが入ればもっといい試合になった。2、3発良いのは入ったけどまだまだ。──内藤選手の圧力は強かった?
弱い選手ではない。でも打ってきてくれるからタイミングは取りやすかった。
この最後のセリフ「打ってきてくれるからタイミングは取りやすかった」がすべてだと思います。
内藤大助が試合を盛り上げようと思って打ったパンチが、亀田興毅にカウンターパンチをもらう穴になってしまったんですね。
逆に、亀田興毅は試合の面白さよりも、試合に勝つことを重要視したというわけです。
プロとしてどっちがいいのかは、観ている人の好みによるところが多いので、なんとも言えませんが、内藤選手には引退しないで、また亀田興毅に挑戦してほしいですね。
今度は、チャレンジャーとして。
現段階では、今後をどうするかは考えていないようですね。
──試合を振り返ってみてどうか?
ジャッジの判断は受け止めるしかない。
──8ラウンドの採点公開に驚いた様子でした。
4ラウンドの採点から差が開いていたのでちょっとびっくりした。
──亀田選手と対戦してみた感想は?
結果がすべて。彼の方が強かった。
──内藤選手は“国民の期待”とされていたが。
裏切りました、申し訳ない。
僕は口だけの男です。──今後は?
まったく考えていない。ゆっくり考えます。
また、視聴率はすごい結果が出ています。今年1位の平均視聴率43.1%です。
29日夜、TBS系で中継されたプロボクシングWBC世界フライ級タイトルマッチ、内藤大助×亀田興毅戦の視聴率は、43・1%で、歴代のボクシング視聴率で2位となった。
瞬間最高は51.2%だそうです。日本国民の半分以上の人は観ていたんですね。
ちなみに、ボクシング中継の最高視聴率の歴代1位は、1978年5月7日のWBA世界Jフライ級タイトルマッチ、具志堅用高 vs ハイメ・リオス戦の43.2%ということです。
0.1%しか変わらないですね。
1978年といえばインターネットがない時代です。
そういう意味では、昨日の試合が歴代1位といってもいい数字でしょう。
そして、昨日の内藤 x 亀田戦は2009年のテレビ番組の視聴率では1位です。
今年は野球の世界大会「ワールド・ベースボール・クラシック」2次ラウンドの日本−韓国戦(3月20日)の40.1%が最高平均視聴率でしたが、この数字を3%も上回りました。
やっぱり、再戦すべきですよ。僕はまた2人が戦っている姿を見たいですね。